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病院・クリニック市場の理解(医療業界への新規参入企業向けマーケティングの基礎 Vol.3)

  • 業種 企業経営
  • 種別 レポート

本記事では、医療業界への新規参入を考える企業向けに、医療市場や最新の政策動向について解説します。第3回は「医療政策の理解~国が推進する医療DXとは~」をテーマに取り上げます。

[過去の記事はこちら]
 第1回 病院・クリニック市場の理解
 第2回 病院を取り巻く経営環境

自社商材を差別化現場や商材の価値を改善・高める
医療介護関連企業向けサービス!
 

第3回 医療政策の理解~国が進める医療DXとは~

医療DX(デジタルトランスフォーメーション)は、日本政府が重点的に推進する施策の1つです。これは、医療の質の向上や効率化、そして患者中心の医療の実現を目指すものです。具体的には以下のような取り組みが進められています。

1. 全国医療情報プラットフォームの創設

全国医療情報プラットフォームとは、医療・介護関連の様々な機関が電子カルテや予防接種記録などのデータを共有するシステムです。これにより、医療と介護分野の情報連携とサービスの質の向上を目指しています。

出典:厚生労働省「第4回「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チーム
【資料2-2 全国医療情報プラットフォームの概要】」(2023/8/30)より抜粋

電子カルテ情報共有サービス
電子カルテ情報共有サービスは、全国医療情報プラットフォームの元となるデータの共有基盤であり、オンライン資格確認等システムのネットワークを活用することで、3文書6情報(注1)などの電子カルテ情報等を医療機関や薬局との間で共有・交換する仕組みです。

注1 3文書:1.健康診断結果報告書、2.診療情報提供書、3.退院時サマリー
   6情報:1.傷病名、2.アレルギー、3.感染症、4.薬剤禁忌、5.検査、6.処方

2. 電子カルテ情報の標準化と標準型電子カルテの開発

政府は、2025年までにほぼすべての医療機関で電子カルテを導入することを目標としています。これにより、医療情報の共有が容易になり、より効率的な医療サービスの提供が可能となります。また、標準化された電子カルテシステムにより、異なる医療機関間での情報連携が促進されます。

電子カルテ情報の標準化
電子カルテの標準フォーマットを導入し、医療機関間でデータを簡単に共有できるようにします。これにより、患者がどの医療機関を訪れても適切な医療情報が共有され、スムーズな診療が行われることが期待されます。

電子カルテの普及と標準化
標準化された電子カルテ情報を送受信できる標準型電子カルテの開発が進められています。2020年時点での電子カルテの普及率は、一般病院で57.2%、診療所で49.9%に留まっており1)、政府は2030年までに100%の普及率を目指しています。

3. 期待される医療DXのユースケース・メリット

医療DXの推進により、情報共有を通じた業務の効率化や個人の健康管理の支援が可能となり、以下のユースケースおよびメリットが期待されています。

救急・医療・介護現場の切れ目ない情報共有
救急医療から介護までの一貫した情報の共有が可能となり、緊急時の迅速な対応や継続的なケアが実現します。

医療機関・自治体サービスの効率化・負担軽減
医療機関や自治体の業務プロセスが効率化され、スタッフの負担が軽減されます。これにより、より多くの患者への対応が可能になります。

健康管理、疾病予防、適切な受診等のサポート
個人の健康データを活用した健康管理や疾病予防が促進され、適切なタイミングでの受診が推奨されることで、健康寿命の延伸が期待されます。

公衆衛生、医学・産業の振興に資する二次利用
集積されたデータの二次利用により、公衆衛生の向上や医学研究、関連産業の発展が促進されます。

出典:厚生労働省「第4回「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チーム
【資料2-2 全国医療情報プラットフォームの概要】」(2023/8/30)より抜粋

最後に

これらの施策により、医療の質の向上、医療費の適正化、そして患者満足度の向上が期待されています。新規参入企業にとっては、これらの政策動向を理解し、自社の製品やサービスがどのように貢献できるかを検討することが重要です。
市場動向や政策の変化を的確に把握し、迅速かつ柔軟に対応することが成功への鍵となるでしょう。

参考資料
1)厚生労働省「第4回健康・医療・介護情報利活用検討会 医療情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループ【資料2 今後の電子カルテ情報等の標準化に向けた進め方について】」P2(2022/5/16)
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/000938862.pdf

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本稿の執筆者

森實 雅司(もりざね まさし)/株式会社日本経営 メディアコンテンツ事業部

株式会社日本経営

本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

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